ローレン・ナカモトのこと(すごい長い記事)

ローレン・ナカモト。アニメ「機動戦士Zガンダム」に2話だけ登場するちょっとマニアックなキャラクター……
と言いたいところだが、ガンダム漫画を読んでるとよく見かけて全然レア感の無い不思議なキャラクターですね。デザインといい名前といい、妙に存在感があるキャラクターであるのは確かで、この記事では彼の経歴についてまとめてみようと思う。

西暦2012年版 ローレン・ナカモト年表
宇宙世紀0050年代? 誕生 サイド3で育つ。
0079年 フラナガン機関に所属。クルスト博士と一緒に(?)亡命。
0079年 ハミルトンの基地に勤務 EXAM開発に参加。
(この後で二代目に交替し、16歳に若返った可能性あり)
0080年代 ムラサメ研に所属
0085年 オーガスタ研に異動
(0085年 オーガスタ研所長になった可能性あり)
0085年? ナナイを担当する
(0085年 オーガスタの所長ではなくなっている)
0085年12月~0086年4月 サクヤとエリシアの調整に関わる
(0086年ごろ ロザミアを担当)
0087年? 別の世界線のキリマンジャロでカラバに投降
0087年? オーガスタ研で準サイコミュの開発に関わる
(だがその後オーガスタ研はエゥーゴ側にくだる?)
(ローレンはムラサメ研に戻ってる?)
(でもサイコガンダムMk-IIはオーガスタに移管されてドゴス・ギアに来た?)
0088年2月 ドゴス・ギアのブリッジで死亡するが生きていた(ここで初代に交替?)
0088年2月 漂流中にアクシズに救助されてそのまま亡命
0088年 何らかの手段でガンダムMk-Vをオーガスタ研から奪取(世界線によっては2月に未完成のG-Vの設計を渡しただけ)
その後ネオジオンにいたはずだが0093年までに没落。

※見れば分かると思うけど、一部ネタ年表です。ネタでない部分も適当に想像でおぎなった部分があるので鵜呑みにしないように。

当記事ではローレン・ナカモトに関する資料を劇中の年代順ではなく、発表順に整理して考えることにします。
断っておきますが、正しい設定を導こうという意図は全くありません。これを書いてどうしたいわけでもないです。

1.「機動戦士Ζガンダム」
ローレン・ナカモトは2話だけ登場する。ゲーツとロザミアの運用に関わっている研究員であり、それ以上の何者でもない。乗艦のドゴス・ギアが撃沈され、死亡
ノーマルスーツを着ない状態でバスクと同じブリッジにいるので、死亡したものと判断される。当然ですが、死んだと明記してある本もあるみたい。

2.小説「フォウ・ストーリー」
ムラサメ研が舞台の小説。ローレン本人は登場しないが、印象の強い人物だったのか2回ほど名前が挙がる。
・かつてムラサメ研にいた。
・0085年ごろにムラサメ研からオーガスタ研に異動している。先に出世したナミカーに対し、女性の部下になるのは嫌という理由。
・0086年ごろにロザミアの情報をムラサメ博士によこしてきた。
・若い。ムラサメ博士のところに来たとき16歳だった(時期不明。ただしムラサメ研の設立は戦後)。
・ムラサメ博士を慕って、情報を私信でよこしてくる(逆にムラサメ博士からの評価はあまり高くない)。
16歳だと。脚本の人は老け顔の若者を想定していたのだろうか。
後で出るデータガンダムはフォウ・ストーリーの設定を拾っているが、この部分をおそらく意図的に無視している。
フォウ・ストーリーの時期は後半がガンダムMk-II奪取より後。序盤はそれより一年前。そしてローレンが異動したのはそのさらに一年前。よって宇宙世紀0085年の前半くらいで異動した計算になる。

3.ムック「MISSION ZZ」
・漂流していたティターンズ戦艦から拉致されアクシズに忠誠を誓う。
・G-Vの設計をアクシズに渡した(G-Vの試作機は完成していなかった)
・他にもサイコミュ関係の技術をアクシズにもたらしたらしい。
・ローレンはムラサメ研である。
漂流という表現はテレビ版の描写を踏まえているんだろうか。どうやってか知らないがドゴス・ギアから助けられた模様。これ以降、生存したものとして扱われるようになる
問題はムラサメ研であること。ローレンがオーガスタ研という設定がちゃんとしてなかったのか、それとも知ってて変更したのか、サイコガンダムMk-IIとつなげる意味もあってムラサメ研という設定を選んだのだと思われる。
だが実際フォウ・ストーリーに限らず、ローレンはオーガスタの人間とする資料のほうが多い。ロザミアがオーガスタ研だからだろう。サイコMk-IIもムラサメ研からオーガスタに移されたという設定が書いてあることもある。
だがとにかくこのムックでのローレンはムラサメ研であり、G-Vはムラサメ研ではなくオーガスタ研の開発である。この時点の設定でローレンはG-Vの開発自体には関与していないというふうに取るべきである。

4.ムック「ガンダム・センチネル」
・ローレンはムラサメ研である。
・ガンダムMk-Vの1機をアクシズに献上した。
これもムラサメ研。G-VからガンダムMk-Vになって設定が変わっており、こっちでは実機を渡したことになっている。
紙面の都合か、漂流云々はカットされていて、どうやって生き残ったのかわからないし、アクシズに渡った後なにしたのかも書いてない。センチネルにもMISSION ZZの設定が残っているとみなしてもいいが、しかしセンチネルの諸設定はMISSION ZZと全然違うわけで…
ちなみにローレンがどうやってガンダムMk-Vを持ち出せたのかも謎である。

5.小説版「THE BLUE DESTINY」
設定主義が確立し始めた時期の作品。
この小説に「ローレン」という人物が登場する。欄外の解説によるとローレン・ナカモト本人かどうかは不明だが、容姿に関する特徴は明らかにローレン・ナカモトのものなので、この記事では本人と断定して考える。後発資料で否定される可能性もあるが、まあ残るだろう。
・ハミルトンの連邦基地(実質EXAM研究所)の研究者。EXAMの開発に関わっている。
・ジオンからの亡命者である。
・ジオンなまりがない。
・ジオン・ズム・ダイクンの思想に影響を受けている。
ローレンと会ったユウ(地の文)は彼をサイド3出身だと思い込んでいるが、はっきり言ってるわけではない。

欄外の解説がクセモノで、「ムラサメ研に所属し(中略)ガンダムMk-Vをアクシズに渡した」ローレン・ナカモトと同一人物かどうかわからないとしており、何気にセンチネルの設定を「ムラサメ研」までそのまま肯定している。

EXAM開発者のクルスト博士との関係は詳しく書かれていない。クルストと同じくフラナガン機関出身、だとも取れるが、不明。クルスト博士とジオン時代からのつきあいなのか、EXAM研究においてどのような立場なのか、このへんの説明は特にされていない。
文章を読む限り、彼の亡命理由はジオン・ズム・ダイクンの支持者であることが大きいようにも思える。
EXAMと無関係ではないにしろ、クルストとは意見も異なっているし、EXAMに関してジオン時代から関わっていたかは、少々疑問。

この小説はどうもフォウ・ストーリーを認知せずに書かれている。何しろ当時は入手困難だったし、別に公式作品でもないので配慮する義務もない。ひょっとしたら存在を把握していなかったかもしれない。
だが、この後の作品はブルー、センチネル、フォウ・ストーリーの全部を踏まえた感じになっていく。

6.漫画「デイアフタートゥモロー カイ・シデンのレポートより」
この漫画は新訳Zガンダムベースであり、テレビ版と少々設定が異なる。だがどうも時期的にこの漫画で初めて言明されたらしい設定がいくつかある。後の本でも同様の設定が出てくるので、設定がここで生まれたのか、最初からこの漫画の独自設定ではなかったのか。
・ローレンはオーガスタ研(これは本来の設定だろうが)
・ナナイ・ミゲルと同僚。
・フラナガンを師と呼び、ニュータイプ論を語る。
・ムラサメ研にいたことがある、サイコガンダムのこともよく知ってる様子。
・サイコガンダムの小型化、一般人用サイコミュの開発は最終段階だと熱弁。
・ナナイと共にカラバに投降。
どうもフラナガン機関出身だったようだ。小説ブルーで明言されてなかった部分が事実化している。
ムラサメ研にいたという設定はフォウ・ストーリーに準じているようでもある(この漫画の別の回ではサイコガンダムが9号機という設定も出てくるけど、これもフォウ・ストーリー由来のような気が)。
そしてサイコガンダムの小型化云々はMk-Vのことらしい。量産型サイコガンダムとも取れるが、この単行本のインタビューからも想定はMk-Vと考えられる。
所属がオーガスタに定まったことで、何気にMk-Vの開発に直接関わってたという設定が導入された? ……はっきりと明言されていないが、その様子。
ちなみにカイによると強化人間はフラナガンの考えとは異なるそうな。
Mk-Vのことはともかく、ムラサメ研出身であること、フラナガン機関出身であることは、共に「フォウ・ストーリー」と小説「ブルー」がなくても独自に導ける設定であるが、影響は感じる。

ナナイが出てきた理由が不明。「ナカモトがアクシズに亡命する際に彼女がニュータイプ研究所にいたという設定があったようなので」と作者のことぶき先生が単行本で言っているが、これって何のことだ?
ナナイが連邦・それもオーガスタにいたという設定はここが初出だったように見えるが…
ナナイはこの少し後くらいにCDAに出ていて、こっちもまた肯定しようとすると経歴が入り組んでくる。

7.漫画「Ecole du Ciel」
85年12月にはオーガスタ研に所属。サクヤをエリシアにぶつけるための調整を行っている。少なくとも86年4月までは所属していた模様。出番的にはそんなに多くないが、あんまり気持ちの良くない人物として描かれている。

8.連載「データガンダム」
非公式設定も含めて何でもかんでも肯定する連載に、なぜか重要人物でもないはずのローレン・ナカモトが登場。基本はこれまでの資料の組み合わせだが、微妙に設定が盛られていて、まず宇宙世紀0050年代の生まれとしている。これは多分資料に基づくものではなく、ブルー時点で20代と推測して逆算したものと思われる。「一説にはサイド3で少年時代を過ごした」としているが、これはブルーの地の文で言われてるけど何となく断定できない部分を一説として取り上げたものだろう。
フラナガン機関にいたこと、クルストと一緒に亡命したことなど、ブルーで言明されていない部分をはっきり書いている。確度は高い話だが、もしかしたらクルストと一緒に亡命というのは勇み足な解釈かもしれない。
カイレポについては、ナナイを担当していたことは書かれている。キリマンジャロにナナイと一緒にいた部分は異説扱いで掲載されているが、何故かカラバに投降ではなく、どさくさでナナイといっしょに姿を消したという、全く異なる内容に書き換えられている。???
本編の歴史に戻って、グリプス戦役時にローレンが宇宙に上がったのはキリマンジャロ陥落後の11月としている。これもここでの追加設定のような気がする。
その後漂流、救助という表現が出てきて、今まで触れられなかったMISSION ZZの漂流設定が復活する。
フォウストーリーの設定もばっちり載っているが、ムラサメ博士と会ったとき16歳だったという設定は完全スルーしている。
意外にもMk-Vや準サイコミュを開発したという設定は記載無し。まだその設定は無かったということだろう。

9.漫画「BEYOND THE TIME」
ナナイ・ミゲルの記憶世界の話として登場する。
・ナナイが16歳のときオーガスタ研にいた。
・「所長」と呼ばれている。
・ナナイがネオジオンのニュータイプ研所長になった頃には没落、ナナイにタカリに来る。
所長?! 「エコール」では別の所長が出てきているのでモロに矛盾。しかし研究所じたいはエコールの描写を踏まえている。

ナナイは無理やりオーガスタに連れてこられている。カイレポに沿っているがCDAと辻褄が合ってない、っていうかCDAとナナイのキャラ違う。ナナイの年齢ははっきりしないが、CDAの設定と同じだとすれば16歳時は0085年になるようだ(逆シャア時点で24歳ってかなり違和感あるんだが…)。
実際は設定が違ってズレてると取る余地もあるが、この漫画はCDAに出たナナイの兄の名前も出てくるので、年齢についてはつながってると見てよい……かなあ。
ローレンに着目した場合、0085年にオーガスタというのはフォウ・ストーリー以来の経歴と一致している。
その後、ナナイがネオジオンのニュータイプ研究所所長になったころに没落した姿で出てくる。やっぱり生きてた…
記憶世界の話なので、そもそも実際に起きたことと違っているとも取れる。
なお戦後に生体のローレン・ナカモトが目撃されたのはこれが初めてだと思います。

10.「GUNDAM UC MS.I.D.T.C」(『ガンダムエース』2012年3月号)
とうとうガンダムUCの設定にも現れた。「袖付きドーベン・ウルフ」の設定で、今までスルーしていたセンチネル設定に急に言及し、ローレンがネオジオンにMk-Vを持ち込むくだりを全肯定している。
・ジオン・ズム・ダイクンの影響を受けている。
・準サイコミュにはローレンが「過去に研究していた特殊OSの知識」が役立っている。
・オーガスタ研である。
・ネオ・ジオンに亡命し、「彼が開発した」ガンダムMk-Vを献上。
・ネオ・ジオンでも準サイコミュは開発していたが、ローレンの参加で一気に技術が進んだ。
「特殊OS」って言ってるが、どう考えてもEXAMのことである、と同時に、準サイコミュをローレンが開発したと明言したのはどうもこれが最初である。カイレポで口走っていた話が事実化した。
EXAMと準サイコミュを結びつけたのも今までGジェネの武器設定くらいで、ちゃんとした設定としては今回が初だと思う。だがこれは同時期に準サイコミュ系技術について掘り下げていたAOZ2と衝突しているおそれがある。

ちなみにこの回の背景画像には、文章で全く触れられていないバウンド・ドックの設定画が使われているが、自分で乗ってたバウンド・ドックを作ったという設定はそういえば見たことがない気がする。
バウンド・ドックも次に設定が出るときはジェリドでも使える準サイコミュ機になったりするのだろうか。アモン・ドッグもオーガスタ研が作ったりしてるんだろうか。

主な資料はこの10個の資料でいいと思う。10件も!
多すぎる。ローレンだけ気軽に出し過ぎを通り越して、ローレンを出さなきゃいけないルールでもあるのかというレベル。
ロザミアやナミカー・コーネルが出る機会がローレンと比べてどれだけ少ないと思ってるんだ。
アニメ本編は別として、これらは最後の一個のUC設定をのぞいてどれも公式と断言できる作品・設定じゃないので矛盾もやむなしなのだが、かなりの部分で同調しようとする意志も感じる。
この配慮が、どこまで公式か線引きしにくい状態を生んだともいえるな。配慮された結果、CDAもエコールも後の作品で公式同様に参考にされるのなら、それは事実上公式化してるということじゃないか。
とはいえ、実際目立っているのはガンダムエース掲載作品同士のリンクであって、他部署のガンダムとの連携はあまり見られない。まあ現状ガンダムエース系以外はAOZしかないが。
要するに、またどこかで大物作家がガンダムの外伝を書いたりすれば、何かの拍子に矛盾を起こしてこれら外伝のほうがまとめて非公式として葬られる、というような感じもする。

っていうか、アニメのローレンはどう見ても死んでるわけで、彼に限っては「公式」よりその他の作品のほうが重視されてる。どうしてだ。
ローレンが生きてるなら一緒にいたバスクだって生きててもおかしくないが、そういう話はない。ローレンが生きてる資料は全部劇場版ルート?でもなさそうだ。

フォウ・ストーリーの年齢は後発作品と矛盾する。ムラサメ博士と会った当時16歳だとすると、この当時の設定で彼がフラナガン機関の出身の可能性は低い。(ムラサメ博士と会ったのがムラサメ研設立よりも数年前、一年戦争前だと曲解すれば説明がつかなくもない……それならムラサメ博士がボケていて年齢を間違えてたと解釈したほうがマシか)
フォウ・ストーリーをある程度拾ってるらしい現状にもかかわらず、ここだけは特に解釈を与えずスルーしている。このやり方が、もしかしたら今の「公式」の方針なのかもしれない。確かにローレンの年齢がズレたところで別に「歴史上の」影響は無い。
そもそも死んでるのに生きてるローレンなので、若返るくらいどうってこともないとも思うが。

雑感
ローレンは作品ごとに性格も違ってるように見える。
フォウ・ストーリーを読んだ感想で言うなら、どうもローレン・ナカモトという人物がそんなに感じの悪い人とは思えないでいる。偏屈で空気を読めない人間なんだろうと思うものの、である。
もちろんアニメの彼はロザミアを強化したひどい人、とも言えるんだけど、一方でゲーツとうまくやってるというところもある。
エコールもビヨンドもローレンは非常に感じの悪い人物となっている(女の部下になるのを嫌がった自尊心強い男がナナイのところにタカリにくるというのも情けない)。そのことに違和感は持ったものの、この男のキャラが少々違ったところで文句を言う人もいるわけでもなく。

その他
ローレン・ナカモトはシンプルなデザインの青い服を着ているが、白黒の設定画ではこのシンプルな服は青いようには見えない。
そのせいか漫画ではいつも服にトーンが貼られておらず、白い服を着ているように見える。

他にもローレン関係で出てきたナナイやロザミアの経歴についても気になるところはあったが、この記事ではここまでとします。
手に入りやすい資料ばっかりで助かった。まだあるならそれは他の人にお任せしましょう。
最後に、フォウストーリーは文庫版しか読んでおりません。当時版でローレン関係の内容が違うということは無いと思いますが、一応その点ご了承ください。
[ 2012/09/04 21:59 ] ガンダム | TB(0) | CM(0)

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