ラディッツは弱くない?サイヤ人の上級戦士とは

ナッパ1

孫悟空=カカロットはサイヤ人の下級戦士だったが、その厳密な定義が原作中に出てきたことはない。と言っても、初期値が低かったという程度の話は出ていた。
そして原作中でカカロット以外の階級が明かされたことはなかった。偉そうにしてるラディッツはナッパより大幅に弱かったが、別にラディッツが下級戦士という情報は原作にはないのだ。下級がいる以上「上級」もいるんだろうとは思われたが。

サイヤ人の階級について設定が明かされたのは2014年。
最強ジャンプ2014年3月号ふろく「エピソードオブバーダック」の単行本巻末の鳥山明がオオイシナホの質問に答えるというコーナー
>Q7
>バーダックの最終的な戦闘力はどのくらいだったんでしょうか?(「エピソードオブバーダック」内で)
>また、フリーザにやられずに成長したらどのくらい強くなったんでしょうか?

に対する鳥山回答
>●正直そこまでは考えていませんが、バーダックは下級戦士です。といっても下級戦士がほとんどで、中級戦士はわずか10人ほど、上級戦士に至ってはベジータ王とベジータ王子しかいません。バーダックは下級戦士としては上位にいますが中級戦士にはなれていません。
>この階級は持って生まれた潜在的な戦闘力で決められますが、もちろんその後に大きく戦闘力が上がれば昇級ができます。

質問の回答になってないように見えるが…原作者によるかなり具体的な階級制度がここではじめて明らかになった。
そして編集コメント
>中級戦士でもたったの10人!? サイヤ人はとんでもなくきびしい階級社会で生きていた…。ナッパクラスの戦士がやっと中級戦士といった所だろうか。

階級は主に強さだけで決まっており、成長による昇格の可能性もある。そしてベジータ親子だけが上級である以上、ラディッツは絶対に上級戦士ではない
この設定でもラディッツが下級か中級かは言明されていないが、しかし10人しかいない中級にラディッツが入る感じではないだろう。ラディッツはサイヤ人の大半を占める下級戦士であったと考えるのは自然だった。実際、ごく最近ドッカンバトルでもラディッツを下級戦士としていたそうである。
ところでアニメにおいてはバーダックとターレスが下級戦士とされていたこともあり、バーダックの息子のラディッツが下級戦士というイメージは過去よりあった。だからこの2014年の設定は従来のイメージとうまく一致しているのだが、この2014年設定では下級戦士の比率が相当高いことがわかる。これは受け取り方によっては、下級と言ってもラディッツが決して実力的に劣るとは限らないということも意味する。アニメのバーダックも下級戦士にしてはやたら強かったし、ラディッツもナッパに比べれば弱虫というだけで、巨大な下級戦士という区分の中での下位グループと考える根拠はない。えらそうにしてたラディッツは、サイヤ人という強戦士族の中で標準的な下級戦士なのであろうと。
さらに編集コメントの通り、エリートのナッパがこの中級戦士だったのかなという予想もできる。
あくまで予想であって、これも明言しているわけではないことに注意したいが。
ナッパ2
とはいえドラゴンボールファイターズ(2018年2月発売)でもナッパを中級戦士としていた。上級じゃないナッパさんがイキってるのも、中級が既に少数のエリートだという前提があるからだ。これは新しい設定を反映した描写なのである。はずでした…

ここで最新設定。2017年末に出た最強ジャンプ2018年1月号ふろく「ドラゴンボール サイヤ人超最強COMICS」の巻末にも鳥山明のQ&Aコーナーがある。
>Q3 サイヤ人はみんな戦闘員になるの?
>赤ん坊が生まれると、すぐに戦闘力が測定されます。数値が基準より高ければ上級戦士と見なされ、すぐに戦闘員候補として育てられます。一方、ある時期が過ぎても数値の低い者は下級戦士とみなされ、技術者になるか、飛ばし子になりポッドでどこかの星に飛ばされてしまいます。その星を征服できるほど強く成長すれば戦闘員として故郷の星に帰ることができます。しかし、飛ばされた子どもの生存率は高くありません。ラディッツは上級戦士だったので、正規の戦闘員としてナッパのいるグループに配属され子どもの頃から闘っています。やがてベジータがそのグループに加わったというわけです。

うん、言ってることが全然違ってるが…
2017年設定は、2014年設定と「上級」の定義が変わっており、ベジータ親子以外も飛ばされないものは全て上級ということになる。そして中級という区分が消滅している。
この2つの設定はあからさまに矛盾しているが、しかしよく考えてみたい。肝心なところは変わっていないかもしれないのだ。

2017年設定の大きなポイントは、飛ばし子と通常戦士の間に初期値の差があるということだ。これは原作に出た情報と整合性が取れている。
原作19巻二百二十八話によると、カカロットは下級戦士であるが、
「サイヤ人は生まれてすぐ戦士の素質を検査される…そのときの数値が低いクズ野郎がきさまのようにたいした敵のいない星へ送り込まれるのだ…」
と言ってる。このセリフの直前でベジータの言う「下級戦士」と飛ばし子がイコールでないことに注意したい。飛ばされるのは全て下級戦士だとして、飛ばされない下級戦士もいるとも解釈できる。2014年設定でも原作と矛盾はない。
でもこの時点で「下級戦士=飛ばされた赤ん坊」という2017年設定のイメージはほぼ固まっていたようにも考えられるんだよなあ。すると2014年設定のほうがイレギュラーなんだろうか。
実際のところ原作のラディッツは自分が飛ばし子だったような言い方はしていない。

そして2014年の設定でも2017年の設定でも変わっていないのだが、ラディッツは下級だか上級だかわからないが、実力的にそう大きく劣る戦士ではないように見えることだ。
ここでジャコの話をする。『銀河パトロール ジャコ』の単行本の「DRAGON BALL-」(ドラゴンボールマイナス)という描き下ろし作品にバーダックたちが登場するのだが、ここで幼いラディッツがベジータと組んでどこかの星にいる姿が描かれた。ラディッツはベジータと組める程度に上位の戦士だったのである。
ここが前回の記事、近年起きたデフレ問題に関わる。ラディッツは弱くない。というより、バランス変更されて、ラディッツたち下位の戦士が原作より強くなっているんではないか?

ラディッツの戦闘力は1500と原作外の文献などで言われているが、作中の設定ではない。だが、それほど違和感のない数字である。パワーだけならラディッツに匹敵する栽培マンの1200よりパワー以外で勝っている数値ということだろう。
ちなみに魔貫光殺砲発射時のピッコロが1330、悟飯のパワーが1307。これと比べると1500はちょっと高い気もするが、大きく外れてもいなかろう。
ところで銀河パトロールジャコによると、ジャコは成長したサイヤ人に勝てるほど強くないという。だから飛ばし子を察知し子供のうちに倒しに来たが、その後の復活のFでジャコはフリーザ軍ザコ兵士を割と余裕であしらっていた。後の話でフロストのズルにも気づいていたし、どうもこいつは自分で言ってるよりかなり強い印象なのだが…
そりゃ何年も経ってジャコもパワーアップしてるのかもしれないが、まずこいつ本当にラディッツより弱かったんだろうか?
フリーザ軍ザコ兵士の戦闘力は不明であるが、ナメック星に来た部隊に関しては戦闘力1000程度のナメック星人3人を全く恐れていなかったので、それなりに高いようだ。
だが偵察に行ったふたりはクリリン悟飯が1500くらいになっただけであっという間に倒されている。この時期のスカウターの数字をどこまで信用していいかわからないが、アプールたちは1000ちょっとが妥当であろうと思われる。
このナメック星攻略部隊の質も謎である。フリーザ直属部隊のはずなのに旧型戦闘服の在庫を持っていたり、ザーボンくらいの幹部でも旧型スカウターを使っていたりそもそもスカウターが人数分しかなかったり、物資面では決して十分なチームではなかった。フリーザが直接連れてくるくらいだからそれなりの精鋭であるようにも思えるんだが…戦闘力だけなら劣らない寄せ集め部隊といったところか?
ともあれ原作の描写の通りならラディッツの戦闘力はアプールたちと同等か、もうちょっと強いくらいになるはずである。アプールがエリートだという仮定なら、ラディッツの強さも相当なものだと言えよう。が、それがどうしたという感じである。仮にあいつらがエリートだろうとザコはザコだ…

さてジャコがあしらってたザコ兵士はどうなのか?ジャコの強さは自分で言ってるのよりは上で、ラディッツくらいと仮定できる。
対する敵兵士はアプールの時代よりもっと質が落ちているとも考えられるので、ジャコでも楽勝できたと考えることはできるのだが…
そんな比較するほど違いが描写されていたわけでもなく、やっぱりアプールも普通にジャコに負けるザコ兵士という気がする。あえて言うならナメック星到着時点より大幅にパワーアップしているクリリンたちに一定時間持った新世代兵士のほうがアプールよりずっと強いんじゃねえかということで、それと戦えるジャコもクリリンくらい強いと考えて相当パワーアップしてる計算になるやもしれぬ。
ここで前回の記事で提唱したバランス変更説に関わる。ジャコがパワーアップしたというより、やっぱりザコ兵士のほうが亀仙人より下のレベルに下がったんだ。そのバランス下でジャコはもともとザコ兵士より強い。
そのジャコが戦いを嫌がるサイヤ人全体が強くなってるんじゃない?
…憶測と妄想と仮定だらけで何がなんだかわからんですね。
とにかく現状のラディッツの評価がジャコ程度と考えると、原作描写より序列が上がってる気がします。

矛盾しているラディッツの発言についても少し触れよう。
これは近年の設定と関係ない原作自体の矛盾なのだが、17巻百九十七話でラディッツは生き残ったサイヤ人はカカロットを入れて4人であり、ラディッツと別の一人は星を攻めていた。もう一人はカカロットと同じように星に飛ばされていたという。
思うに、この時点ではベジータが星送りされていたつもりだったのではないだろうか。実際のところ初期のベジータは悟空と比べてもやや若い印象がある。すなわちベジータのような強い戦士も星飛ばしされていた想定があったのではないかと。
その後の原作で、先に述べたとおりベジータのような強い戦士は飛ばされないことがわかった。
さらに幼少期のベジータが既にベジータ王より強かったこと、そしてフリーザはあえてベジータのいない時期に合わせ惑星ベジータを破壊したことが語られる。こうした描写により当時のベジータが飛ばされた赤ん坊であったとは考えにくくなり、惑星ベジータ消滅時に赤ん坊だった悟空より年上であることがわかる。のちのアニメでも年表でも、そして銀河パトロールジャコでも、すべての媒体でベジータのほうが悟空より年上として描写されている。
もちろんナッパがベジータより年下ということもないので…この17巻のラディッツの発言については考察対象とせず忘れる解釈が主流である。
これが後付けのターブルであるという説もある。いやそれだと人数が合わないので矛盾していることに違いはないが、今回いろいろ考えてるうちにこの矛盾につっこまれて考えたのがターブルだった可能性もある気がしてきた。
銀河パトロールジャコにおいて、カカロットが星飛ばしされていたのはバーダックの判断によるイレギュラーであった。ラディッツらがその事情を聞いていなかったなら、カカロットを下級戦士と考えていただろうが、素質・初期値は特に劣ってはいなかったのかもしれない。
そしてターブルもカカロットと同様に、侵略以外の目的で星送りされた人物だった。

バーダックの階級についても考える。
まず2014年設定の載った本がややこしい存在で、エピソードオブバーダック自体は2011年の作品である。2014年版はQ&Aが追加されたが、これは直後に発売される銀河パトロールジャコの単行本の描き下ろしの告知を兼ねている。バーダックの妻ギネの存在が始めて明らかになったのがこのQ&Aである。
で『銀河パトロール ジャコ』の単行本でバーダックとギネが登場したのだが、これがエピソードオブバーダックの原作にあたる「たったひとりの最終決戦」とまったく整合性が取れていない。バーダックの仲間はアニメ版と別人だし、悟空が飛ばされる状況も違うし、フリーザの動きも違うし、バーダックが未来予知を得るまでの過程もない。
そしてバーダックの階級についても、マンガ内で言及はない。
というか悟空が赤ん坊じゃなくなってるこれは原作自体とも矛盾してるのだが、これを最新設定と考えていいのかは知らん。
※エピソードオブバーダック自体もIFストーリーということで、どうも原作アニメから意識的に描写をズラしてるっぽいが…

とりあえずバーダックが下級戦士であることについては、これも原作にはない情報だが、旧アニメ版からその設定だった。バーダック(とターレス)はそれなりに強力な戦士だったが、下級戦士であるという。だから息子のラディッツが下級戦士というイメージも受け手側に昔からあったと思われる(明言してる文献もあるかもしれない)。2014年設定は、そのアニメ版のイメージともうまく合致している。
ただしバーダックとナッパの序列は不明。旧アニメ版では戦闘力1万とかのバーダックのほうが8000以上だ!でビビってたナッパより強いように思えるが、ジャコのほうのバーダックはその設定を受け継いでいない可能性がある。そもそもナッパの正確な戦闘力も階級もわからない。
2014年設定によると下級戦士であるらしいジャコ版バーダックはナッパには劣るのか、それともナッパも下級戦士の中のエリートに過ぎなくてバーダックと大差ないのか。
逆に2017年設定はバーダックの階級を示していない。下級上級が初期値で決まるのであれば、そこに成長後の戦闘力はあまり関係ないとも解釈できるので、バーダックも飛ばし子であり、強さと関係なくずっと下級戦士でいるという解釈も可能だ。しかし、ラディッツ同様バーダックも上級戦士に変わったのかもしれない。

まず根本的な話として、これらは原作に出てない情報がほとんどであり、平気で変わる設定だということに気づくべきだった。
作品内ですら矛盾しているドラゴンボールにおいて、作品外で作者によって出された設定は…その発言した瞬間は正しいし、参考になるけど、絶対視しすぎると気軽に変わったりする。少なくとも作者はそれを変更できる能力を持っている。

今回の2つの設定を両立するなら。
星飛ばしされない上級戦士の中にも上級中級下級の3段階があるのだろう。こう考えると難しくはないけどすごい紛らわしいな…
例によって鳥山先生は数年前の発言忘れてたという線が濃厚に見えるが…
今回のケースはどっちかというと、覚えていたとして、それが公式設定だという自覚がなくて、気軽に変更が効くものという認識だったことが考えられる。旧原作の発言に沿っているのはどっちかというと2017年設定のほうなのだ。
または、重要な発言という自覚がなかったからすぐ忘れちゃったのかも。再録もされない簡単な質問コーナーだし。

これも問題のひとつなのだが、近年の鳥山発言は一回載ったきりのものも公式な設定として、他媒体で積極的に拾われるようになっている。ドラゴンボールファイターズの例だけでも、上記のナッパの中級設定もそうだし、近年明かされた16号の素性もゲームで大きな意味を持っている。この体制変化のきっかけが定かでないのだが、従来ならジャンプとかで鳥山先生が何言ってもどこかに反映されることはほとんどなかったように思う。
でも、原作者の発言を絶対視するのは、ちょっと危ないかもね。
エピソードオブバーダックの冊子も他にないレア設定が気安く書いてある重大資料なのだが、気がついたらかなりのレア本になって気軽に入手できなくなってる現状があり、それがゲームに反映されてるって結構異常な状態なんですよ。
だがこれは本当に重要な設定だったのであろうか。
重要なのはもっと根本的な部分、ラディッツの位置づけが、かつての原作のイメージほど弱そうでもないという部分なのではないだろうか。
だからといってラディッツが超サイヤ人3になっていいのかというのは別として…

このへんの鳥山設定の事情については次の記事にも書くと思う。ドラゴンボールの正史、そしてMSVの話に続く。
[ 2018/04/08 19:59 ] ガンダム以外 | TB(0) | CM(0)

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