ガルスJが掘り下げられないのはおかしい

昨年度、主にAOZのおかげで膨大な量のバーザム設定が出てきたわけだが、僕は前にも書いた通り、バーザムの設定はROBOT魂バーザムの公式サイトで十分だという立場で今も変わってない。
ROBOT魂 バーザム
むしろこれ以上増やさないでもいい。簡潔にまとまってるし。
普通の量産機の設定というのは、本来MS大全集の1ページの半分もあれば収まるものであるべきでしょう。いやバーザムじゃなくても、主役ガンダム級でもそれで収まるのが普通だ。めんどくさい開発系譜なんて「ガンダムMk-IIをベースにしている」の一言がありゃ十分だ。
普通のモビルスーツはMS大全集みたいな資料に書いてあることをそのまま受け取れば十分なんであって、マイナー資料の表記のブレなんて知らなくてもいいんだぜ。

モデルグラフィックス6月号によると、HGUCバーザムの発売日は5月20日とのことだ。既に通販サイトで何度かランキングに入ったり売り切れてたりして、その注目度が尋常でないことがうかがえる。
バーザムは人気コンテンツだった。
その説明書にどんな設定が書かれるのか、AOZの設定がちょっとくらい反映されるんだろうかとか、そりゃもちろん気にはなるんだけど、メインはやはりプラモのほうであるべきでしょう?

現在のバーザムの設定は結構複雑になっているが、その複雑さは受け手側が勝手に盛り上げたところも多分にある。
バーザムが好きで盛り上がっているのならいいが、ただ複雑なメカだから俺考察したいだけならバーザム以外にも難しいメカは沢山あると思うんですよね。何で皆さんはバーザムばかり注目するんですか。本当にバーザムが好きでやってるんですか。
バーザム以外のメカ、たとえばガルスJに真面目に向き合ったことがありますか?

前から言ってるのだが、個人的見解ではガルスJはバーザムより遥かに混沌としたモビルスーツだ。
研究する理由が「難しいMSだから」であれば、バーザムより前にガルスJの深淵に迫るのが筋ではないのか。
だが実際は現時点でガルスJの本格考察記事はネット上にひとつもない。僕の知る限りは。
あの謎の武器エネルギーガンにも、ムーバブルフレームの由来にも大した考察はされていないのだ。おかしいだろう。

AMX-101 ガルスJは、「機動戦士ガンダムZZ」第3話で登場した、番組最初期の敵MSだ。パイロットはマシュマー・セロ。最初のライバルが搭乗する量産機。すなわちポジション的にザクやハイザック、ゾロなどとも通じるガンダムZZを代表する敵量産機である。
とか書いてしまうと既に間違いである。
ガルスJに限らず「ガンダムZZ」全体の傾向なのだが、ネオジオンの機体は最初試作機として登場し、後で量産機がまばらに登場するというパターンが多く、敵MSの半分ほどが量産されている。そして種類が多いぶん出番は分散している。
ガルスJはその中でも出番の少ないほうで、マシュマー機が消えた後は19話まで出ない(ちなみに19話の個体はマシュマー機の動画を使いまわしている)。そのあとも限られた話数で、ちょっとずつ、飛び飛びに登場する。終盤までそんな扱いで、影は薄く、しかし全く出てこないわけでもない。やたらレア度の高いガ・ゾウムよりは多く出るくらい。
名有りパイロットはマシュマーのみであるが、マシュマーが乗ってプラモ化されたという時点でそこそこ出番は確保されてもいる。
でも全体的な登場数は少なくて、外伝作品でもまず見かけない。

基本的な設定として、とりあえず旧キットの説明書を参考にしてみよう。

こいつはホビーサーチで読めるな
ガルスJ (ガンプラ) 解説1

>地球圏に散っていた元ジオンの技術者たちが、再びアクシズへ参加して開発にあたった機体
>「ガザ」シリーズ以上に、旧ジオン系MSのコンセプトが色濃くはいった設計となっている。
>連邦軍MSのコンセプトとして、ムーバブル・フレーム、リニア・シート、ガンダリウム合金等を導入


特に近年のガンダム作品で、エゥーゴなどからアクシズに合流した者もいると言及している作品がいくつかあるが、そういった方面か、あるいはアナハイム、ジオン共和国などから技術者が合流したのがガルスJなのだろう。
だがムーバブルフレームはともかく、ガンダリウムはアクシズのほうが本場のはずでは…
古い機体のリゲルグがガンダリウムじゃないことから考えるに、ガルスJ開発段階ではまだ一般的ではなかった…?
でもガザCですらガンダリウムだぞ。まだキュベレイとガザくらいにしか使わないつもりだったところを、地球に帰ってきたら意外と流行ってたからこっちでも採用したのがガルスJだと解釈しておこうか…?

さてガザに比べれば旧ジオン系に似ているのは確かだが、これは比較レベルの話と受け取るべきだ。ガルスJと似ている旧ジオン機など知らん
ガルスJをグフ系として説明しているウェブサイトもかなりあるが(文献では見たことない)、はっきり言ってこれは疑わしい。Gジェネの設計がそれでできることは確かだが、実際の共通点は腕の内蔵火器だけである。
むしろ各種資料ではザク系として説明している場合のほうが多く、だからってガルスJはザクにもグフにも似てないのは火を見るより明らかだ。ガルスJはガルスJである。

パッと見は旧ジオン系に多少寄せてはいるが、ガルスJの実態は設定と外見の両面から考えて、むしろ連邦系ムーバブルフレーム機の系譜である可能性が高い。ではガルスJの手本となっているムーバブルフレーム機はなんであろう。おそらく量産機だろうが、この条件であてはまる機体はそこまで多くない。
アナハイム系ならマラサイ、ネモ。エゥーゴならメタス、量産型百式改。また連邦系だと…バーザム…?!

※ネモとマラサイがムーバブルフレームなのかは微妙だったはずだが、MGの説明書でマラサイがムーバブルフレームだと書いてあるので同時期のネモもたぶんそう

ジオン系ムーバブルフレーム機だと、ほぼマラサイ一択であるが、しかしマラサイベースならもっとジオン的シルエットになってるんじゃないか。体型的にはネモ系には見えないガルスJだが、よく見るとヒジ関節のマルイチモールドがジム系のそれであり、ここに連邦系が入っていることがわかる。だがネモにこのモールドはない。ジムIIの手…? いやケンプファーか? どっちもムーバブルフレームじゃないが。
前腕のアームパンチ部分は、装甲のかぶせ方がバーザムやギャプランと似ている。バーザムもああ見えてジム・ガンダム系である。前腕はどちらかというと連邦系の雰囲気があるように思う。
胴体はふっくらして平べったい形状で、頭部が沈み込み、バックパックは半一体化している。これもほぼバーザムと共通の特徴だ。
それに対し下半身はマラサイみたく、ふんわり広がったバランスになっている。ガルスJのアンバランスな体格は、上半身と下半身でモデルが違うからと考えることもできるかもしれない。
バックパックは中央に大きなスラスターがあり、これは見た感じネモのものに構造が似ている。その側部に根本から回転しそうな円筒形のスラスターがあるが、これに似てるのは百式改である(量産型百式改ではない)。
それであらためてZ-MSVの百式改の設定画見たら結構上半身デカくてガルスJみたいな体格に見えてきた。

というわけで、特定のモデルはいないのかもしれないけど、連邦系ムーバブルフレーム機の影響はデザイン面からも肯定できることがわかった。

ティターンズ系技術者が流れるだけの余裕があったかも考えてみる。
諸説あるのだが、マシュマーのシャングリラ到着は3月のはじめであるという(この時期の出来事が載ってない年表もあるため、公式に確認された設定じゃないのかもしれない)
どっちみちアニメの描写から見てもZガンダムの最終話の2月からほとんど時間は経っておらず、ガルスJの開発はティターンズが生きてる頃にはもう始まっていたと考えるべきだろう。というわけでティターンズから技術者が流れるにはちょっと早いことは確かだが、オーガスタ研が終戦前にはエゥーゴ寄りになっていたという話もあるので(センチネル)、流れた可能性自体はあると思われる。

またガルスJがドライセンらと違って特定の旧ジオン機に似ていないのは、これがまだムーバブルフレームの導入初期だから旧設計に合わせきれなかったのではないだろうか。連邦系勢力から久しぶりにジオンに復帰した技術者は、もうかなり連邦に染まっていたと。
ネオジオン初期のガルスJ、ズサ、ハンマ・ハンマの3機種は、モデルになった機体が外見上はっきりしない。そしてネオジオン機でモノアイ中央にバーザムみたく支柱があるのも、この初期3機種だけなのだ…
その後のRジャジャ以降は連邦系・ジオン系問わずに過去の機体の面影を持つものが増える。「ハイゴッグ→カプール」「Mk-V→ドーベン」のように後付けで系譜が作られたものも含む。
最近のAOZでズサもガザAあたりから続きそうな感じになっているし、ハンマ・ハンマもゲルググ[シュトゥッツァー]に似てる感じなのだが、現時点でもガルスJへのミッシングリンクは見つかっていない。しかしそれは不自然な話ではないのだ。
マラサイの下半身やバーザムの上半身など、不特定の連邦系機体を模倣して作られた新規ムーバブルフレーム機であり、それゆえに特定のジオン機に似ていないのがガルスJだったのではないだろうか。

旧キットの文字設定だけでもこれだけ考えることがあるが、ガルスJの設定はこれでは終わらない。
他の資料も見ていってみよう。

ENTERTAINMENT BIBLE 機動戦士ガンダムMS大図鑑PART.2 グリプス戦争編
38ページ
アナハイムはリック・ディアス開発前にアクシズで開発されたガンダリウム・γを入手しているわけだが、
>アクシズはムーバブルフレーム(試作品ではあったが)とリニアシートシステムと交換でガンダリウム・γの精製技術を供与した。
待たれよ。
読み直してびっくりした。ムーバブルフレームはガンダムMk-IIの頃に完成し、アクシズにない技術だったと思っていたが、ここではっきり、アナハイムから渡ってるという情報があった。アナハイムとアクシズのつながりがこんなにはっきりと書いてある資料、他にあったっけ?

このページの設定が生きてるとするなら、ガルスJのモデルになってるのは純粋な「ムーバブルフレーム」そのものであり、特定の機体は存在しないことになりそうだが。
ガルスJの説明書と合わせるなら、アクシズは地球帰還した時点で既にムーバブルフレームを持っており、地球圏にいた技術者が合流して完成度が上がった…?

個人的にはこのページの設定は生きてないと見ているが、生きてるとしてもガルスJ関係の説明はつきそうなので黙っておく。

44ページ
ガルスJとズサは「陸戦を想定した機種」と書かれている。特にガルスJは低コストで陸戦性能が極めて高いんだそうだ。ガルスもズサもどっちも宇宙で活躍してたけどなあ。
この44ページ、どうもガザを宇宙用と位置付けての対比で「陸戦」という表現を使ったみたいなんだが、120ページの解説でもガルスJはそのまま「陸戦用MS」と書かれ(ズサは書かれず)、その後GジェネとかMS大全集とかでガルスJについては「陸戦用」という表現が受け継がれていったようだ。(追記:見逃していたが、同じ趣旨の記述は旧キットズサの説明書にもあるので、由来はそっちかもしれない)
また120ページで「AMX-009より性能は低い」と書かれているのも受け継がれており、汎用機対決でドライセンに負けた機体というイメージになっているらしい。
ちなみに、この本では旧キット説明書にある地球圏技術の設定は一切書かれていない。

総解説ガンダム辞典1.5
>陸戦機ではあるが、宇宙でも使用可能。
つまりどこらへんが陸戦用なのだろう…
まあ地球侵攻用だし陸戦のほうが得意…なのかな?
この本は旧キット説明書も参考にしてて、地球圏の技術者についても記述しているが、彼らがガンダリウムを持ち込んだ言及はなくなっている。ガザCもガンダリウムだからね。

そしてこれだけでなく、「量産されたが、実戦に投入された機体は少数にとどまる。」との出典不明設定が追加されている。
アニメの印象を反映した記述に見えるけど、たぶん旭屋フィルムブック由来の設定かな…持ってないからわからないけど。

前にバーザムの記事でも少し書いた通り、総解説1.5は旭屋フィルムブックという非公式スレスレ本の設定を参考にしているのだが、総解説1.5自体は公式資料なみの扱いとなり、後の資料でもかなり参考にされてる気配がある。
MS大全集2013のカラーページでもこれに倣ったように、ガルスJに地球圏の技術者が参加したことに言及しいる。この記述は古い大全集にはなかった。

MISSION ZZ
ZZのメカ設定といえばモデグラ系の記述も忘れてはなるまいが、序盤登場機のガルスJはモデグラが絡んでないみたいで、このムックではデザイン経緯については特に言及してなかった。
120ページに書いてある設定は旧キット説明書のアレンジ版といった感じで、おおむね準拠しているが微妙に異なる。
>量産を目的としてして試作された本機は、(中略)外観も最多量産機であるザクシリーズに近いものとなった。
そりゃガザよりは近いと思うが…

>基本設計終了直前に地球圏より戻った技術者の連邦軍MSのデータを導入、ムーバブル・フレーム、リニア・シート等を加えて再設計した。
なんか途中までできてたのをギリギリで作り直したみたいな表現。こちらもガンダリウムを持ち込んだ記述はなくなっている。

>ザクIIが固定武装を持たないのに対し、運用がジオンとは異なるアクシズでは単独作戦等に投入する必要上から、一機に汎用性を持たせる固定兵装
ガルスJに固定武器が多い理由を述べている。アクシズ機は一機あたりが高性能化している傾向があるので、それにうまく合っている感じもある。

またこのページに載っている2つの作例のうち、片方は頭部をザクっぽくアレンジし、胴体がマラサイのものに換装されている。中隊長カスタムなんだそうである。固定ポーズを取らせるための製作上の都合らしいが、マラサイとの互換性もイメージした作例かもしれない。
もう一個の作例は前腕をザクのものにしているが、やっぱりガルスJにジオンっぽさが足りないと思われてたんじゃ…

このムックの他の記述でガルスJに関わりそうなのは39ページ。AMX-014ドーベン・ウルフについて
>型式番号の百の位に0が与えられるのは量産機であることを示している。
アクシズ機の型番ははっきりした法則性は不明なのだが、1XXのものと0XXのものがある。
この「0XXが量産機説」は他で見ない説明だが、これだとゲーマルクが量産機になってガルスJが試作機になってしまうぞ。

ちなみにENTERTAINMENT BIBLEと総解説1.5では、100番台と000番台の違いを2つの開発部門の違いとしていた。
しかし総解説もなぜかゲーマルクを量産機って書いてあるんだよな…これも旭屋フィルムブックの設定らしい。
何でゲーマルクを量産したがるの。

データコレクション 機動戦士ガンダムZZ
ENTERTAINMENT BIBLE準拠で陸戦用と書いてあるほか、「ザク系を継承した機体」「多数量産されている」だと。
このようにザク系という明記がモデグラ系列以外でも見つかることがある。

ガンダムMS動画図鑑第246回 AMX-101 ガルスJ(機動戦士ガンダムΖΖより)
>ガルスJは、正統派モビルスーツとして、ネオ・ジオンの旗のもとに戦った機体である。
ガルスJは正統派なのだ。グフとは違うのである。

他の資料も探せばまだまだ重要な記述はあると思うが、このくらいにしておきたい。ガルスJの設定は結構ブレてることがおわかりいただけたと思う。
バーザムだけが特別難しいのだと誤解している方々におかれては、まず手元のガルスJの資料を精査してみることをおすすめする。

ちなみにこの記事はまだまだ続く。
ここまではガルスJ本体の設定だが、ザク的ポジションであることをまるで意識していないかのように、ガルスJの武装体系は異常である。

旧キット説明書に記載されている武器は「ミサイルポッド×2」「フィンガーランチャー(毎分260発)」「エネルギーガン(出力3.8MW)」の3つだ。
それと、名前は書いてないがアームパンチがある。

アームパンチ

ザクにはヒートホークがあったが、ガルスJに設定されている近接攻撃手段はアームパンチのみだ。手首が伸びる。
舐めとんのか。
こいつはオーソドックスな量産機のふりしておきながら、パンチだけで敵と戦うつもりなのか。鋼鉄すら打ち破るガンダリウムの貫手なのか。
伸びるって言ってもハンマ・ハンマの腕ほど長いわけでなく、マスターガンダムのニアクラッシャーくらいの距離しか伸びない。
(ニアクラッシャーというのはたぶんアニメでは1回も使ってない技で、昔のプラモでは再現できたのだが、HGFCなどでも再現されなくなってきている)
ヒート剣すら設定されていないガルスJを、近接攻撃の雄であるグフ系に分類するのは、ちょっといろんなところに失礼じゃないの?

ビームサーベル
どっこい、アニメのガルスJは設定画の存在しないビームサーベルを普通に使っている。当然、機体にサーベルを内蔵する箇所は設定されておらず、ズサあたりの他機種からの流用であろうか。内蔵はしてないけど使うことはできるようだ。
しばしばガルスJがビームサーベルを持ってないゲームがある理由は、こういう事情による。
データコレクションのように、設定画はないが武装欄にビームサーベルが書いてある場合もある。

エネルギーガン
出力3.8MWのビーム兵器。
エネルギーガン
あまり有名ではないが、謎の多い武器である。
機能としては普通に携行型のビーム砲なのだが、なぜビームライフルでもビームガンでもなく、エネルギーガンと称するのか?
そしてこのエネルギーガン、大きく出っ張った部分に弾丸のようなものが入ることが設定画で確認できるのだが、この弾丸の用途がはっきりしていない
説明書の「ミサイルポッド×2」は肩の固定武装だ。

エネルギーガン2
プラモの箱絵だと赤い部分がミサイルっぽく描かれているが、アニメだとここは赤くない

ENTERTAINMENT BIBLEでは、
EBミサイル
こっちでは「ミサイル・ポッド」という文字がエネルギーガン付近に確認できる。
しかしこの本では肩のミサイルポッドは書いてなく、エネルギーガンという名前も書かれてない
52ページの武装一覧には「フィンガーランチャー、ミサイルポッドガン他」とある。エネルギーガンはどこいった?

個人的な見解を述べる。
まず弾丸がEパックであるという説がネット上で散見されるが、資料的根拠が認められず、俺設定のたぐいであると考えて無視する。形状がEパックらしくないし。
箱絵からも画稿からもミサイル系のものである感じはするのだが…
一つ浮かんだ疑問なのだが、これそもそもビームガンとしてデザインされたものなのだろうか。この「エネルギーガン」そのものが実はグレネード的な武器としてデザインされているのではないか?ということである。
これって、ビーム兵器じゃなく、込めた弾丸を普通に砲口から発射する武器なのでは。

とりあえずアニメでエネルギーガンからビームが出る回はあるので(かなり後半である)、現状ビーム兵器だと判断するのは正しい。デザイナーの意図など知らぬ。重要なのは現状の扱いだ。
ミサイルなのかどうかはわからないが、いくつかのゲームと、一部の資料でミサイルとして扱ってることは確かである。
それに対しミサイルと明記していない、武装欄にエネルギーガンのミサイルを掲載していない資料も多数あるが、かといってミサイル以外の説明がされたこともないようだ。
じゃあミサイル説のほうが優勢なのかなあ。
データコレクションもMS大全集の古い版も、ENTERTAINMENT BIBLEの通りミサイルポッドと書いてるんだけど、手持ちで一番新しいMS大全集2013だと武装欄の「ミサイルポッド×2」だけになっていて、エネルギーガンのミサイルへの言及はなくなってる。総解説ガンダム辞典も同様だ。
PS時代のGジェネではミサイルがここから出ていたが、近年は肩のミサイルに変更された。このように、過去にミサイル扱いされていたが新しいものだと改められている傾向はある。アニメの描写に準じているとも言える。
だが最新に近いガンダムオンラインではまたミサイルが出てる(らしい)。
あまり知られてないが、現状ではバーザムの股間以上に解釈が不明なのがこのエネルギーガンなのだ。
バーザムの股間はもう決着がつきかけているが、エネルギーガン問題が公式に認識されてはっきりする日は来るんですか?

※類似事例:νガンダムHWSのハイメガシールドからミサイルが出るゲームがある。

ミサイルポッド
ミサイルのマガジン
肩に固定されているミサイル。設定画では左肩だけ蓋が開いている状態だが、アニメでは左肩が開いてるときと閉まってるときがある。MISSION ZZの作例も閉めた状態にしてある。

こっちはこっちで弾丸の画稿がないんだよなあ…
しかも下のでっぱり部分がマガジンって…そこちゃんと外せるようにデザインしてあるのか?
こっちこそミサイルじゃなく「左右非対称のディテール」としてデザインされてないか?
よくわからない。
とりあえずアニメでもはっきりミサイルとして使ってるので、デザイン意図はともかく現状ミサイルなのは確かである。

フィンガー・ランチャー
要はグフのハンドマシンガンと同じようなものだが、これも謎のネーミングだ。ガンダム界で機銃系の武器に「ランチャー」とついていた例は他に見覚えがない。発射数は毎分260発だ。
これもアニメでちゃんと機銃っぽいものが出てる。しかしどこに弾丸入ってるんだ。

その他の武装としては、ガンダムUCのep4に出た個体はマラサイのビームライフルを持っていたので、連邦系も含む標準的な武器は使用できるものと思われる。

こうして見ると射撃用の固定武装がふたつもあり、奇妙な独自規格のビーム兵器を持ち、それに対して近接武器は汎用品の使いまわしで、しかし格闘戦に使えそうなアームパンチを持つ。
コンセプトがさっぱりわからんぞ!
伸腕の術で幕末の志士を惑わすようなコンセプトでもあるのか。

ビームサーベルがないのが気になるが、固定武装に関してはMISSION ZZの説明で納得できる部分もある。独特な武装が目立つものの、見た目以外の機能は標準的なものであり、また連邦MS由来と思われる互換性を持っており、専用武装以外も使える。
基本はオーソドックスな機体であり、固定武装に頼らず普通にビームライフルとビームサーベルで戦うのがガルスJなのではないだろうか。うむ。

ガルスJのバリエーション
21世紀になって3機種もバリエーションが追加されており、ガルスJは公式サイドからの人気が高いことがわかる。
研究するなら、まだ受け手側の注目度が低い今しかありませんよ!

AMX-101K ガルスK
ガンダムUCで初登場した支援仕様のガルス。完全な新規バリエーションのくせに大した活躍もしないという、特異な立場にいるレアMSである。
地上のジオン残党所属の機体では珍しくネオジオン製の機体で、性能は比較的高いと思われる。開発時期は第1次ネオジオン戦争のようだ。型番Kでキャノン系になるのはザクキャノンと同じ。
小説版とアニメ版で仕様が異なっているが、基本的な部分は変わらない。
特徴はガルスJの武器をひとつも受け継いでいないことだ。固定武装のミサイルがなく、フィンガーランチャーがなく、そして小説版はアームパンチもない。武器もエネルギーガンをやめている。

機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096 ガルスK
アニメ版の設定だと「フィンガー・ミサイル」をオミットしたと書いてあるけど、あれはミサイルじゃない。設定担当すら間違えてる。
…いやまさかミサイルであってるのか?ボップミサイルみたいなちっちゃいのがいっぱい詰まってて毎分260発撃つのがフィンガーランチャーなんであろうか。
本体はバックパックも変更され、肩のスラスターも減っており、地上用の雰囲気がある。

武装も見ていこう。

ビーム・キャノン
主武装のビーム・キャノンはガ・ゾウムの携行武器であるハイパーナックルバスターを転用したものである。この手のキャノン機では珍しく左肩にキャノンがある謎のこだわりも特徴。
ガ・ゾウムもまた妙なところが多い機体で、ハイパーと言いつつガザCとDのナックルバスター(本体直結型のビーム)より出力は下で、それなら普通にビームライフルと名乗れよという感じだが、これをキャノンとしたのがガルスKだ。言い換えると、ただのビームライフルをキャノンとして背負ったような機体ということになるが、エネルギーガンを普通に持つのと比べて利点があるのだろうか、わからない。もしかしたらハイパーナックルバスターも本体直結可能なのか?
これを考慮するとガゾウムの設定にも食い込んでくるぞ。

ビッグガン
ザクキャノンの使っていた武器の転用。

3連ミサイル・ポッド
左腕に装着する。胴体のミサイルを外しておきながら、代わりに外付けのミサイルを追加しているわけだが、弾丸が違うのか、取り回しがしやすいのだろうか。
これはガルスKの独自装備のようだが、ゲルググキャノンのものによく似ている。

このようにガルスKの武装は他機種からの転用が多く、いかにも残党による現地改修機のような寄せ集め感がある。
だが武装をとっぱらった素体部分は転用ではないようだ。本体は正規に開発されていたようにも見える。
そしてビームキャノンを除いた素体のガルスKだが、支援機として特別な変更がされているようでもなく、むしろガルスJの余計な武装をとっぱらっただけに見える。
キャノンを後付けと仮定すれば、何らかの理由――操縦性とかコストダウンとか――で平凡化し、より陸戦用に寄せた機体が本来のガルスKであり、それをベースとし、最終的に現地でザクキャノン化したのが現在のガルスKなのではないか。だから一度は外したミサイルが、現地の好みで戻ってきていると。

ところがアームパンチの存在がある。
小説版デザインだとどう見てもアームパンチがないのだが、小説中でアームパンチを使っている
実はZZに大した思い入れがないらしい福井晴敏先生だが、なんでガルスJの固定武装なんてピンポイントで覚えてるんですか!
それは忘れてるほうが正解だったんですよ!

これの影響かアニメ版のデザインではアームパンチが復活しているのだが、アニメ中で使ったわけではなく設定上も明記されてないようなので、機能として生きてるのかは謎である。とりあえずGジェネでは使ってない。

AMX-101E シュツルム・ガルス
こちらは袖付きの所有機。宇宙のネオ・ジオンが持っていた機体を改造したんだろうと思われる。
徹底的に軽量化し推進装置すら排除した異常な機体である。

機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096 シュツルム・ガルス

なぜシュツルム・ガルスはガルスJをベースにしているのか?
シュツルム・ガルスは汎用機のガルスJらしさが残っておらず、同じことをやるなら別にガルスJでなくても問題なかったように見えるのだが。
ガルスJが一番素体にふさわしい機体だったのか、単にあまっていたのか。

当然固定武装もない。フィンガーランチャーは外され、胸部にはミサイルの代わりにマグネット・アンカーが仕込まれている。携行武装はチェーンマインとスパイクシールド。スパイクシールドは専用のものとのことだが、素材は他機種からの使いまわしである。
なおこの機体もアームパンチが見た感じ搭載されているのだが、アニメで使ってないようである。設定にも書いてない。

型番の「E」の意味は不明。開発順ではないだろうが。
Eがついたジオン機にはMS-18Eケンプファーがあるが、チェーンマインを使う以外には特に似た感じがない。
外見はヅダを思わせるところがあるが、これも軽量以外通じる要素はないように見える。

UCだけで小説版ガルスK、アニメ版ガルスK、シュツルム・ガルスの3種ものガルスバリエーションを作り出したわけだが、関係者にガルスJに思い入れがある人でもいるのだろうか。

ガルスS
こちらはバーザムで有名なAOZ Re-bootから。
A.O.Z Re-boot Vol.22 AMX-101S ガルスS
ガルスJの火星対応改修機で、ジオンマーズの主力機のひとつ、とのことだが、ガルスJとかなり相違点が多い。改修といっても、ベースのガルスJはジオンマーズ(火星独立ジオン軍)で確認されておらず、J自体を建造していたかは微妙な感じもある。
外装は全体的にガルスJと違っており、顔以外まるで別のMSのような印象だ。

カラーリングはキシリア親衛隊のギャン・エーオースを意識しているらしく(「YMS-15系モビルスーツ」としてシルエットになっているが、MSV-Rの画稿が使えなかったのだろうか)、しかもシャルル専用ゲルググにも似せられている。
ガルスJに対するミッシングリンクが出てこない問題に対し、ガルス自体をミッシングリンクに置いたのがガルスSである。
ちなみに記事は間違えているが赤いのはガズLだ。

設定文で確認できる武装は「ヒート・ランスと円形のシールド」。ランスも当然ガズL/Rのものに合わせているのだろう。
シールドはギャンよりもヤクトドーガのものに似ている。

中距離支援装備は「大型ビーム砲」とあるが、これはギラ・ズールの持っていたランゲ・ブルーノ砲・改と同じものだ。これまた親衛隊のアンジェロが持っていた武器でもある。
(ギラドーガ重装型のは実体弾説もあるようだが、アンジェロ機のはビームである)
シールドの形状もゲルググマリーネ(シーマ機)のものに変わっている。

文章中に明記していない武器もあるようだ。見た感じだと肩のミサイルランチャー、左手のフィンガーランチャー、腕のアームパンチという3つの固定武装は全て残っている。左手にはフィンガーランチャーの給弾用パイプみたいなのも見える。
またリアスカートにビームサーベルらしいものが追加されている。ちゃんとつける場所があった!
円形シールドもヤクトドーガと類似のものだとすれば、ビームがついているかもしれない。

アニメのネオ・ジオンの標準的MSの序列は登場順から言っても
ガルスJ<ドライセン<ザクIII
だったが、ジオンマーズでは逆転しており、
ザクIII<ドムIII<ガルスS
である。ザク・ドム・ゲルググへの対応を意識してるようだ。グフは知らない。
アクシズとジオンマーズではMSの設計を共有しているというのだが、強さの序列が変わるというのはやはり生産拠点による違いか。

ガルス系MSとは
ガルスJの特徴は固定武装だと思うのだが、ガルス系の派生機体は、その固定武装を外すことができるようだ。シュツルム・ガルスでは肩ミサイルの部分に別のものを組み込んでおり、ミサイル部分の乗せ換えは最初から想定されている感もある。
派生機のベースになっているのは固定武装の妙に多いガルスJ自体ではなく、そのフレーム部分なのではないだろうか。

同じアルファベット名の機体でも、ガザは開発順にアルファベットが変わる方式だったが、いきなりJから始まるガルス系は違っている。
ドライセンが完成度が高いぶんバリエーションの少ない機体であるのと対照的に、ガルスJはザク、ゲルググに続くプレーンな汎用機であり、それをムーバブルフレームにより結実させたものだったのではないだろうか。これこそが「ガルス・フレーム」的なものであり、機能の付加とともに末尾のアルファベットが変更されていくのがガルス系なのではないか。
すなわちガルスJはガルス系の基本機でありながら、既に「J」としての機能が付加されている形態でもあったと。
そしてフレームだけになった形態こそアルファベットが消えた「ガルス」であり、それを特化型にして磨き上げたのが「シュツルム・ガルス」だ。命名規則が違うのは本来の進化と違うからだけではなく、Jよりも素体そのものに近い特性を持つ形態だからと考えてはどうだろう。

先ほどの疑問、なぜシュツルム・ガルスはガルスJをベースにしているのか?という問に対する答えも自ずと見えてくる。「袖付きの手持ち機の中で、最もフレーム単独で成立している機体」がガルスだったのだ。
ガルスJはネオジオンで最初に開発された量産型ムーバブルフレーム機であり、それ故に後の旧ジオン色の強いドライセンなどよりもフレーム単独での完成度では勝っている部分もあったと。これなら設定ともうまい具合に整合している。

本格的に連邦系ムーバブルフレーム機の影響を受けた量産機であり、ザクのように汎用性が高いだけでなく、派生機を作りやすい設計となっていた。それがガルスJだったのだ。
そしてここまでの考察を言い換えれば、「ガルスJは見た目に似合わずザクみたいな平凡な量産機」だったというのが結論となる。
考察した結果、一周して元の設定に戻っているが、ドライセンで済むならドライセンでいいかなって…
[ 2017/05/06 13:11 ] ガンダム | TB(0) | CM(0)

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