ドラムフレームが宇宙世紀を支配する

ドラムフレームは、試作アッシマー[キハール]やガンダムTR-6[ウーンドウォート]、モビルポッド「オッゴ」など、様々なメカニズムに使用されている円盤状、あるいは円柱状の機械構造の名称である。
重なった円盤状の部品がダイヤル錠のように回転し、変形機構を担ったり、アームや武装を接続したりできる。
用途は様々であり、可変機だけに用いられる構造ではない。

ムーバブルフレームとは名前が似ているが、使われる範囲は異なる。ドラムフレームは軸受けのような機能の機械部品であり、全身骨格であるムーバブルフレームと無関係ではないが直接的な関係にあるものでもなく、ムーバブルフレーム機の内外に組み込むことも可能である。

一般的な解説文を書くなら、以上のような感じになると思う。

ただし、AOZシリーズ以外ではこの機構に関する言及は少ない。
いやAOZ内でも決して多くはなかったぞ。少し前までは。
・ドラムフレームにまつわるこれまでの理解と誤解
ドラムフレームは、ムーバブルフレームの前段階の機構であり、ここからムーバブルフレームが作られたと考えられていた。
そしてキハールやウーンドウォートなどの、特定の機体群だけに採用された機構だと考えられていた。
これがネット上でよく見られた解説であるが、これは解釈間違いが多分に含まれていた。
こういうことがリブート自体に書いてあった。

A.O.Z Re-boot Vol.32 ORX-005 ギャプランTR-5[フライルー]ギガンティック・アーム・ユニット装備

>「フレーム」という単語から、ムーバブル・フレームとドラムフレームの優劣が語られることがあるが、この比較は意味をなさない。ムーバブル・フレームがMSを構成するフレーム構造であることに対し、ドラムフレームは一般的なMS(やそのフレーム構造)には不可能な力を引き出すためのパーツである。
>ムーバブル・フレームとドラムフレームは、ひとつの機体に両立可能で、機能の制限を受けない。


この解説だが、ネット上で優劣を語るページがなければ本来必要なかったものではないだろうか。

・キハールは最初にドラムフレームを採用した機体ではない
そもそも旧AOZのVol.2の記述だと
>その可変システムはギアやシャフト、シリンダーが複雑に組み合わせられ機体の骨格ともいえるフレームを形成している。この可変フレーム技術が後に発展し、ムーバブル・フレームを生み出すきっかけとなる。
とは書いてあるのだが、ドラムフレーム、このダイヤルロック部分自体がムーバブルフレームに発展したとは書いてなかったのである。
ムーバブルフレームの祖になっているのは、ドラムフレームではなく、それを含むキハール全体だった。
というか、キハールのページに「ダイヤルロック」とは書いてあるが「ドラムフレーム」という用語自体が書いてなかった
まぢか。
ドラムフレームという用語が最初に出てきたのはVol.3の大気圏内用キハールのようだ。

・オッゴにもドラムフレーム
藤岡建機がデザインしたオッゴにドラムフレームが使われているという記述は、どうもAOZリブートで初めて出てきたものなのか?

A.O.Z Re-boot Vol.31 ガザA(ジオンマーズ仕様)/ガザM(マリンタイプ)
オッゴ、いやさキャトルから始まるドラムフレームを機体構造の中心に据えたドラム系機体群の解説がされているが、右上のほうの画像に意外な記述がある。
>C:アッシマーの非ムーバブル式フレームの視覚化がTR-3時の発注でしたので、ガゾウム等を参考に変形時の中核となる背骨部に新型フレームを設定しました。
>D:版元様にお願いした新型フレームの命名(ドラム~となる)はGP00との整合性と思われます。


ムーバブルフレームに頼らない変形機構は藤岡建機自身の発案ではなく、オーダーされたものであり、
それで思いついたダイヤルロックの変形機構はアッシマーだけでなくガ・ゾウムの機構を参考にデザインしたものであり
それにドラムフレームという名前をつけたのは藤岡建機ではなく版元(サンライズ方面?)のほうであり、
そしてドラム自体もGP-00で既に使われていたものであった。
たぶんそのネーミングに合わせたのだろう、と藤岡建機は思ったようだ。キハール初出時にドラムフレームという呼称がないことも、ネーミングが他者によることの裏付けと言えるだろう。
※GP-00は機体背部のドラム型のユニットを介して武器を変更できるが、でもこれが厳密に「ドラムフレーム」と命名されてたかは知らないぞ

こうして見てみると、ドラムフレーム自体について藤岡建機主導でやった部分は少なかった。
GP-00でデザインされていた機構を藤岡建機は再発見しただけだったと、藤岡建機さん自身がそう思ってしまったんじゃないか…
ドラムフレームを考えたのは建機ではない。すでにあったものを再利用するだけだから藤岡建機のせいじゃなかった。

この発想の恐ろしいところは、既存メカにも遠慮なく魔手を伸ばせることにある。
アッシマーがそうであったように、他のMSもいままで知らなかっただけで実はドラムフレーム型MSだったのかもしれない。現にズサ、ブルッケング、扇風機、スペースコロニーなどにどんどん発見されているではないか。
版元こそがキハールがGP-00と同じドラムだと定義したのであり、アッシマーのドラムにお墨付きを与えているのだから、その被害がアッシマーだけで終わるわけない。
ポリキャップを見たらドラムフレームと思ってもいい

どうやら「キハールはムーバブルフレームの歴史上でも重要な機体である」ことは当時の認識のままで良かったのだが、
ドラムフレームの歴史上で見ると「ドラムフレームを中心に構成されたモビルスーツとしては古い部類」という程度の位置づけに過ぎないように見える。
他勢力だとガザAがおそらく同時期に出現しており、連邦側においてもキハールが最初という確証はない。オッゴやキャトルの時点で一般的だったものが、可変モビルスーツの中核にたまたま採用されただけでしかない。
そして、Vol.31と32の記述でわかるのは、これがリブートで急に変わった設定ではなく、当時からそのつもりだったのだろうということだ。
もちろんムーバブルフレームと対立する概念などとは考えられていなかった。ムーバブルフレーム内にドラムフレームを含む機体も当時から当然存在していた。たとえばバーザムやTR-6とか…

追記
建機バーザムの胴体内部のドラムフレームだが、これはテレビ版に存在しなかった機能として象徴的なように見えるが、機能的にはあまり重要ではないように見える。
建機ザムの場合、ドラムフレームはプリムローズIIの変形や、TR-6とのパーツ換装に使われているようだが、素のバーザム状態での機能はどうやらリアスカートの接続だけである。ドラムフレームを介するというグランユニットに関してはハイザックやマラサイでもくっつく。
当たり前に存在するドラムフレームが胴体で活用されているものの、キハールほどドラムフレームに依存していない。バーザムはドラム系機体とはみなせないと思う。)

それにしても、こういう解説に「古代エジプト」を持ち込むことで記事そのもののうさんくささを増大する手法、わざとやってるのなら大したものだぞ。
いやベアリングの起源がエジプトにあるってのは現実にもある解説だし、だからってドラムフレームをエジプト人が作ったとか書いてあるわけじゃないが。
でもドラムフレームの起源は古代エジプト!そして火星のドラムフレームは高品質!うさんくさい!
[ 2017/04/23 13:23 ] ガンダム | TB(0) | CM(0)

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