モビルスーツの核爆発とMS SAGA VOL.4

機動戦士ガンダムシリーズのモビルスーツは核融合炉で動いてるんだそうである。
その核融合炉は、しばしば核爆発らしいものを起こす。
特にVガンダムでは高確率で核爆発を起こす。しかしZガンダムなどでは一切核爆発しない。

はじめに断っておくが「核融合炉が核爆発するわけねーじゃねーか」という話ではない。
現実の核融合炉は核爆発しないのかもしれないが、ガンダム世界の核融合炉は現実のとは違うので核爆発するかもしれねー。

この「融合炉が核爆発するのか問題」は統一の見解が出てないと私は認識しているのだが、詳しい説明が載ってる本のひとつとして「MS SAGA VOL.4」というVガンダムの頃に出た本がある。
08小隊の核爆発描写をこの「MS SAGA VOL.4」と、「アナハイム・ジャーナル」を絡めて否定的に書いているのを見かけたことがあり、多少引っかかりを感じながらも中身がどんなものかと勝手に想像していたのだが、実際に読んでみるとどうも当初想像していたのと書いてあることが違っていたという話を。

この本について部分的に抜き出してみるが、興味ある人は全文確認することをおすすめする。さほど入手の難しい本ではないので。
「MS SAGA VOL.4」の中で、核爆発について書いてあるのは「Vガンダムの基礎知識III」という連載ページ。伸童舎:編。
ストーリーの解説や設定画、ミノフスキードライブの解説などが書かれているが、後半5ページほどが丸ごと「ミノフスキー/イヨネスコ型融合炉」に関する話になっている。ミノフスキー粒子によって核融合が安定してできるようになったという定番の解説に始まるのだが、この後の部分が他の本には書かれていないことばかりである。

■MSと融合炉

  • MSの開発当初から事故による制御不能の核反応は起きないと言われていた。
  • MSの爆発の多くはプロペラントや武装の誘爆。
  • 意図的あるいは過失によって核反応を起こすことも可能。
  • ザクは歩く核兵器とも呼ばれてた。
  • “核融合”自体が連鎖反応を起こすことはありえない。

融合炉での核反応は起きないとガンダム世界内でも言われているが、実際は起きる。そういうことが書いてある。

■MSの爆発

  • ビーム兵器などで最大稼動時の融合炉が破壊されると、ビームの威力と堅牢な炉心とミノフスキー粒子などによる作用で核分裂(Fission)に相当する高温高圧状態が発生する。
  • それによって燃料のHe3や重水素が圧縮加熱され核融合(Fusion)を起こす。
  • この反応は3F弾に匹敵する現象として爆風、熱線、放射線を生じる。
  • 3F弾と違って第三段階の分裂(Fission)は無いので、旧世紀の核弾頭ほどの戦術・戦略兵器とはなりえないが、原爆と同等の威力。
  • 放射線はミノフスキー粒子の作用で減衰する。ミノフスキー粒子の濃度が低ければ爆発は起きない。よって核兵器のような放射能汚染は起きにくい。しかし全く生じないわけでもない。
  • 医療技術の発達で、迅速な処置で放射性物質の体内への蓄積をある程度免れる。

放射能は出るけど核分裂反応に相当するのはビームの威力で、核分裂そのものが起きているわけではない?
つまり放射線は核融合由来のものだけになるということか?そうでもないのだろうか。
放射能汚染は深刻ではないが、無視できるものでもないようだ。
(核融合の知識はあんまりないのだが重水素とHe3の反応なら中性子は出ないが、重水素どうしのD-D反応なら中性子は出るようなふうになってるとのことである。しかしそれで汚染という風に読むとちょっと苦しい気がするが理解が足りてないのでよくわからない)

■融合炉の安全保障

  • 一年戦争以降は技術革新で通常の運用ではほとんど問題がないレベルまで事故の発生率を押さえ込んだという。
  • 実際は戦闘も「通常の運用」なのだがメーカーが想定してるのかどうか?(このへん要約しにくい複雑な書き方がしてある)
  • 核動力は南極条約の制限を受けない。

■MSの融合炉と周辺状況

  • グリプス抗争の前後は融合炉の保護技術がもっとも顕著に発達した時期。
  • 当時の炸薬や弾頭、ビーム兵器の威力では融合炉を損壊しにくかった。
  • 融合炉の保護回路に加え、装甲技術の進展もあった。

Zガンダム時代は安全だったという、映像に合った解説だが、「通常の運用」とメーカー云々のくだりについて、これは勝手な予想だが、どうも書いた人はZガンダムで全然核爆発が起きないことをよく知ってるんだけど、将来的に「核爆発するZガンダム」が出てくるかもしれないと想定していたんじゃないだろうか…

■第二期MSの融合炉

  • 小型化と、可変速荷粒子砲(ヴェスバーなど)の開発された段階で融合炉は危険になった。
  • 小型化によって装甲が薄くなった。
  • ヴェスバー系ビーム兵器は既存の保護回路を無効化した。既存のスペックは達成しているが。
  • ビームサーベルの威力も上がり、白兵戦での暴走爆発の危険も以前より高まっている。

要するにVガンダムの時代はビームの威力が高いから爆発するということのようだ。意外とわかりやすい。

核爆発関連で書いてあるのはこんなところ。
書いてあることのうち自分的に重要そうな部分を要約すると:

  • MSの核融合炉は核爆発することがある。
  • MSの爆発が核爆発とは限らないが、核爆発の場合もある。
  • 一年戦争時は安全だと言われていたが、実際は核爆発する。
  • グリプス戦役時の融合炉は安全性が上がったためほとんど核爆発しない。
  • Vガンダムの時代は火力の向上により安全性が不足して核爆発しやすくなった。


書いてないこと:
・ビームでないと核爆発しないとは書いてない。
これが微妙なところで、■MSの爆発の節に、ビームでの破壊が前提で説明がされている箇所はある。
でも「ビーム兵器など」と書いてある以上、ビーム以外でも核爆発は起こりそうに見える。炸薬や弾頭という表現も出てくるし。
ビームのほうが爆発しやすそうな感じの書き方はしてある、とだけ。

・小型機の炉が核爆発しやすいとは書いてない。
小型時代になって核爆発しやすい条件が揃っただけであり、炉自体の安全性はそのままである旨明記してある。断じて核爆発しやすいものに変わったとは書いてない。
そりゃまあ小型化のためとはいえ、そこまで安全性を犠牲にするってのはちょっとね。

微妙なこと:
逆シャア~F91の時代の書き方が曖昧。
ヴェスバーがF91にしかなかった時点ではまだ安全ということなんだろうか。
Z時代が安全という書き方をしてるんだけどZZはまだ安全なのか、逆シャア時代はそうでもないギリギリなのでは、とも取れる気がする。Z時代でも「通常の運用」以外なら核爆発は起こるかもしれないようだ。

MS SAGA VOL.4の話はここまで。話を08小隊に戻す。
08小隊の核爆発描写自体は、整合性に問題があるという意見は根強い。都合よく核爆発しすぎではないかと。
しかしMS SAGAと08小隊だけを比べる場合は、特に矛盾はないと言ってよさそうだ。ここを私は誤解していたという話なのであった。

08小隊と矛盾するのは90年代後半、08小隊と同時期に出てきたらしい「小型機の新型炉は構造が変わったので核爆発する」という設定である。初出は旭屋出版のF91フィルムコミックという本だそうだ(私は読んでいない)。
この本の設定は公式設定かどうかとても微妙な扱いなんだそうであるが、この「小型炉になったから爆発する」設定は総解説ガンダム辞典という本にも書いてあるのでそれなりに定着していると考えられる、ような…

MS SAGA VOL.4の核関係の設定は後の資料には載っていないようである。公式設定になりそこなったのだろうか。
その意味では「小型炉は構造が変わったから核爆発するようになった」のほうが優勢な位置にいたのかもしれん。だがファースト1話とかでときどき爆発してる件はどうなるのか、08小隊の立場は。
さらに後のガンダムUCを加味すると、08小隊より先にあったMS SAGA設定のほうが都合の良い感じではある。

08小隊とアナハイム・ジャーナルの関係については次の機会で。
[ 2013/08/24 23:10 ] 未分類 | TB(0) | CM(0)

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